研究概要 |
本研究は、線形合同法、フィードバックシフトレジスタ法、メルセンヌツイスター法等の従来からの方法とは異なる乱数生成法、すなわち、カオス写像を利用した新しい擬似乱数生成法『実数シフト乱数生成法(SSR)』(Simplified Shift-Real random number generator)を研究し、そのランダムネスの解析並びに、並列計算機上への実装を研究の目的としている。SSRのアルゴリズムSSR計算(Φ_x)^24(1)は、カオス写像Φ_xを利用して、乱数を非再帰的に、すなわち直接的に生成するという、並列型計算に適した新しい手法である。 今までの研究により、SSR計算値(Φ_x)^24(1)の最初の3桁を棄て、続く4桁をとった数値は、xを変化させていくと一様乱数になり、また、SSR計算値の分布は、写像Φ_xに対応するPerron-Frobenius作用素の不動点をh_x(t)とすると、h_x(t)のx∈[1,2)による平均H(t)になることが分かっている。このことを利用して、SSR乱数の特性改善について、K改良が提案された。 しかしながら、最近、K改良について、乱数の対称性の実験分布が理論予想より悪いことが判明したので、その原因の究明が必要となった。これに対して、本年度予算で購入した64ビットワークステーション等で数値実験を繰り返し行い、問題点がカオス写像Φ_xの初期値の選定にあることが判明したので、新たな初期値を定め、この問題を解決した。また、以前からの改良法であるY改良についても、概念を一般的に拡張して、新たなX改良とした。 これらの結果は、下記の研究論文として発表され、また、2006年8月に開催される国際会議MCQMC2006に投稿中である。
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