代数的な組合せ構造をグラフに表現したものの多くは「距離正則」という高い正則性を持っている。 本研究では距離正則グラフの部分構造の持つ正則性を研究することで表現した代数構造とその部分構造が持つ性質を導きだす手法を与えている。今年度得られた研究結果は大きく分けて次の2点である。 (1)Odd graphとDoubled Odd graphの特徴付け 集合の部分集合族に自然な形で定義されるこの二つの距離正則グラフは自然な形で距離正則な部分グラフの列を含んでいる。すでに部分グラフの列の存在によってこれらのグラフを特徴付けすることに成功していた。本研究で得られた結果により、距離正則性を表すパラメーターの1部分だけを与えることで、グラフの部分構造の関係式を導くことができ、それによって元のグラフ全体の特徴付けができることを示している。 (2)Delsarte clique graphの構造 距離正則グラフはその最小固有値からグラフの持っClique(完全部分グラフ)のサイズの上限が与えられる。この上限を満たすCliqueはDelsarte cliqueと呼ばれ、「Completely regular code」という符号理論の分野における「符号」に対応した構造を持っ興味深い研究対象である。 本研究では、各辺が与えられた定数個のDelsarte cliqueに含まれるような距離正則グラフを調べている。 多くの距離正則グラフがこの条件を満たしており、Delsarte cliqueの「符号」としてのパラメーターによって距離正則グラフとしてのパラメーターを表現する関係式を与えている。 本研究で得られた関係式を用いることで、多くの研究成果が得られることが期待できる。 現在も研究を継続している。
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