研究概要 |
代数的な組合せ構造をグラフに表現したものの多くが、「距離正則」という強い正則性を満たしている。 また、代数的な組合せ構造とその部分構造との関係は、表現したグラフとその部分グラフに密接に関係している。 本研究においては、距離正則グラフとその部分グラフとの関係を調べることによって、代数的な組合せ構造とその部分構造との関係を明らかにしていくことを目的としている。 「Odd, doubled Odd, doubled Grassmann, Hamming, dual polar」という、よく知られている距離正則グラフの5つの無限系列に属するグラフは自然な形で部分グラフを含んでおり、次の性質を満たす。 (*)「任意の2点を固定したときに、その2点を含み、その2点の距離を直径とする部分グラフが存在する。」 本研究の第1の目的は「上の性質(*)を満たす距離正則グラフは有限個の例外を除いては上記の5つの無限系列に属するグラフであるか」という未解決の予想を解決することである。 「Odd, doubled Odd, doubled Grassmann」の3つの無限系列に属するグラフは「非正即な2部グラフ」を部分グラフとして含むことが知られていたが、この条件を満たす距離正則グラフは1つの例外をのぞいては、上記の3つの無限系列に属するグラフであることをすでに証明した。 残る2つの無限系列「Hamming, dual polar」について考察することが今年度の目標であった。 今年度の成果として、目的とする「未解決な予想」に対する部分的解決である次の2つの結果が得られた。 1.条件(*)を満たす距離正則グラフにおいて、ある部分構造が完全グラフになるものは、Hamming graphと3つの例外だけである。 2.条件(*)を満たす距離正則グラフのパラメーターに対する新しい不等式をいくつか証明した。この不等式のいくつかにおいて、等号が成立する距離正則グラフは上記の2つの無限系列に属する。
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