本年度は、興味ある現象についてのモデリングとそのシミュレーションから得られた結果を基に、基礎的な理論構築を行った。本現象は、そのメカニズムは大変単純であるにも関わらず、非常に、きれいなレギュラーパターンが出現することで知られている。その数理理論の土台として、まずは、時間法則、空間法則が成りたつ基本モデルを解析した。その結果、現象から実験的に得られている2法則は、数学的にもモデルから、厳密に理解可能であることが解った。詳細は、発表論文に譲るが、概要は以下の通りである: 我々が解析したモデルは、元々、Keller and Rubinowモデルと呼ばれるものである。これまでそのモデルは、数学的な解析を寄せ付けないほど、解析が困難であった。しかしながら、我々は、拡散のフロントについてのシャープインターフェースモデルを厳密に導き、それと化学反応、及び、沈殿の効果を加えた偏微分方程式系を考えれば(それは力学系の言葉では、「方程式の縮約」を行うということになるのであるが)、それは、厳密に解析可能であり、しかも、それから、その解析から、時間法則と空間法則がなりたつメカニズムが理解できることを厳密に証明した。 さらに、その結果から、モデルを2次元に拡張し、シミュレーションによる、現象の予測、及び、その法則を理解すべく、研究を継続中である。
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