研究概要 |
1.当該研究の目的「Large deviation theoryをnoncompactな力学系に対し確立する事により、複雑系の広い範囲に適用可能なエントロヒ。一を定式化し、更にMultifractal Formalismを介在し劣指数的鋭敏性により引き起こされる相転移現象を明らかにする」に関しては、可算生成マルコフ分割を保持する非双曲型・非可逆離散写像に対し、一般にはヘルダー連続性が崩れたポテンシャルを持つ弱ギブス測度の範疇において達成し、その結果を論文"Large deviations for countable Markov systems"(Commun.Math.Phys.Vol.258(2005),455-474)において公表した。 2.当該研究の目的「多くの非可逆・非双曲型力学系に対して確認されている平衡状態の絶対連続性・弱ギブス性が、自然拡張して得られる可逆系の統計的性質にどのように反映するかを明らかにする」に対しては、Ruelleにより研究されたnonequilibrium steady stateに関する'irreversibility'の概念に類似な定式化を与え、可逆系と非可逆系の関連性を新しい角度から見直しその結果を論文"Nonequilibrium steady states arising from number theory"にまとめてある。 3.当該研究の目的「多次元複雑系のモデルとして、可算個の写像の族から派生する多様な極限集合を考え、その上で観測可能性を意味する基本測度を、変分原理を介在して構成する」に対しては、可算個の定義域が異なる同相写像の族からなる'Dynamical family'を対象に、Perron-Frobenius operatorの類似を採用しconformal measureを構成した。特にマルコフ性が欠如したSofic systemに対して有効な手段と思われ、その結果をM.Denker氏(Gottingen Univ.)との共同論文の中で証明してある。
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