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2007 年度 実績報告書

建部賢弘の数学に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17540137
研究機関四日市大学

研究代表者

小川 束  四日市大学, 環境情報学部, 教授 (90204081)

キーワード建部賢弘 / 関孝和 / 近世日本数学史
研究概要

1.一般に建部賢弘の数学の歴史的解明のためには,師である関孝和の数学の検討が不可欠である.特に,『綴術算経』を正しく現代語訳,英訳のためには関の『括要算法』の理解が不可欠である.本年度は『綴術算経』の現代語訳,英訳の補完作業として『括要算法』を初めとする関孝和に関する研究も進めた.とくに,建部賢弘による計算値の精度評価の手法が関孝和による方法を踏襲したものであることが明確になった.関自身はその方法論を村松茂清に負っていると考えられる.すなわち二つの異なった方法で得られた二つの値を比較し,共通部分を真の値と考えるのである.村松は自らの方法による値と歴史的に伝承されてきた値を比較し,関は村松の方法と自らの加速計算の結果を比較した.一方建部は自らの方法による多数の値を比較した.このように村松,関,建部と続く円周率計算における計算の歴史的構造を明確にできたことは本年度の収穫であった.
2.近年の研究により『発微算法』には少なくとも二版があったことが明らかになったが,その評価は依然変わらないことが確認された.
3.『建部賢弘著作集』およびそのディジタル化のための資料収集をほぼ終了した.
4.関に関する全般的研究の成果として,関孝和にわるベルヌーイ数についての仮説を提示することができた.これは『括要算法』の構成を考慮して現在最も妥当な見解だと信ずる.また建部賢弘に関する総合的研究成果として,『建部賢弘の数学』を出版することができた.本書は建部賢弘に関する最初のまとまった単行本である.さらに,建部が円周率を多数桁計算した背景についても考察し,その概略を発表した.すなわち,当時日本には『塵劫記』の開平,開立計算に見られるような多数桁の計算の伝統があり,建部は意味ある計算としてそれを極限まで推し進めたのであった.この視点は近世日本における数学一般の基底の一つとしても重要である.

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 和算から洋算へ2008

    • 著者名/発表者名
      小川束
    • 雑誌名

      科学 78巻1号

      ページ: 73-75

  • [雑誌論文] 関孝和によるベルヌーイ数の発見2008

    • 著者名/発表者名
      小川束
    • 雑誌名

      数理解析研究所講究録(京都大学) 1583

      ページ: 1-18

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Il Giappone nel periodo Edo2007

    • 著者名/発表者名
      Tsukane Ogawa, et. al.
    • 雑誌名

      La matematica(Giulio Einaudi) 1

      ページ: 387-399

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The Mathematics of Takebe Katahiro: His Three Formulas on an Inverse Trigonometric Function2007

    • 著者名/発表者名
      Mitsuo Morimoto, et. al.
    • 雑誌名

      Sugaku Expositions(American Mathematical Society) 20巻2号

      ページ: 237-252

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 和算に見る計算力2007

    • 著者名/発表者名
      小川束
    • 雑誌名

      科学 77巻1号

      ページ: 1054-1056

  • [学会発表] Calculation of Pi of Seki Takakazu and Takebe Katahiro2008

    • 著者名/発表者名
      小川束
    • 学会等名
      International Program for a Study of the History of Mathematics in Ease Asia
    • 発表場所
      天津師範大学
    • 年月日
      2008-03-21
  • [学会発表] 関孝和によるベルヌーイ数について2007

    • 著者名/発表者名
      小川束
    • 学会等名
      RIMS研究集会
    • 発表場所
      京都大学数理解析研究所
    • 年月日
      2007-08-21
  • [図書] 関孝和の人と業績2008

    • 著者名/発表者名
      佐藤健一, 他
    • 総ページ数
      64-79
    • 出版者
      研成社
  • [図書] 建部賢弘の数学2008

    • 著者名/発表者名
      小川束, 他
    • 総ページ数
      197
    • 出版者
      共立出版

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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