研究概要 |
久保は、無限次元確率解析に現れるカオス(ウィナーカオス、ボアソンカオス等)に関わる研究として、renomalizationに着目した方法により、特殊関数の母関数を求める一般論を展開し、浅井・H.-H.Kuoなどと共著で発表した。 横田は、基本体が有理数体ならば,2次の無理関数の連分数展開が循環しない場合があることを示し,Lagrangeの定理は有理数体上での連分数展開では成り立たないことを示した.また、数式処理・(手書きや音声入力による)数式認識とその数学教育への応用を視野に、ランダムアルゴリズムの検討を行った。計算機科学としての処理部分に関しては、具体的なシステムを構築し、特許を出願した。 谷口は久保と、カオス理論を用いた新しい乱数生成方式の理論的な検討と乱数特性の改良を行った。その結果は平成18年8月に国際会議MCQMC 2006に投稿中である。 池田は、ランダムに送られるトークンを利用した分散処理系における協調手法の評価であるカバー時間を短縮する技法を示した。通常の隣接ノードに等確率で送る方式では、カバー時間のユニバーサルな評価はノード数nの3乗のオーダーであるが、局所的なギブス分布に従う方式により、n^2log nのオーダーに激減できることを示し、その結果を久保・山下との共著によりJACMに投稿した。 中田は、ランダムな分散アルゴリズムの典型例であるHermanが提案した確率的自己安定アルゴリズムに関して,プログラムが停止するまでの平均時間について,タイトな評価を得た。ランダムなアルゴリズムの理論へしばしば応用されているクーポン集めの問題の拡張を行い、分布の具体的な表示と極限分布を得ることに成功した。その結果を久保との共同研究として、平成18年7月開催の国際会議ICALP 2006で発表するための論文をまとめ投稿した。
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