研究概要 |
この期間に行った研究のうち、主なものは次の二つである。 第一にJ.-F.Bony, T.Ramond, M.Zerzeri氏との共同研究で,非退化な双曲型不動点をもつハミルトニアンおよびそれが生成するincomingおよびoutgoingな安定多様体を考えた。対応する準古典シュレディンガー方程式の超局所解のougoingな多様体上でのoutputdataが、incomingな多様体上のinput dataにより一意的に決定されることをあるジェネリックな仮定のもとに示した。さらにインプットデータが与えられたとき、アウトプットデータをフーリエ積分作用素を用いて記述することに成功した。この作用素の相関数、振幅関数は幾何学的な量を用いて具体的に表すことができる.これらの結果は研究であり、プレプリント"Microlocal kernel of pseudodifferential operators at a hyperbolic fixed point"で公表している。 第二は,A.L.BenbernouとA.Martinez氏との共同研究で、島の中の井戸型ポテンシャルが生成するレゾナンスの虚部の準古典漸近展開を研究した。20年ほど前、Helffer-Sjostrandが解析的なポテンシャルに対して、レゾナンスの虚部が古典的な漸近展開をもつシンボルと指数的に小さい項の積で書けることを示した。この指数は井戸から海までのアグモン距離である。我々は同じ結果が滑らかでしかないポテンシャルに対しても成り立つことを予想している。
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