研究概要 |
1 ネター作用素と呼ばれるある種の偏微分作用素を用いると,準素イデアルの零点集合における重複の仕方を完全に記述できることが知られている.Syzygies計算を利用することでネター作用素がアルゴリズミックに構成可能となることをしめした.また,ネター作用素と代数的局所コホモロジーの関係を明らかにした.この結果の概要をまとめたものを京都大学数理解析研究所講究録に投稿した. 2 孤立特異点に付随する代数的局所コホモロジー類の計算法を確立し,更にその応用としてグロタンデイエック双対性を用いるとスタンダード基底計算やグレブナ基底計算が可能となることを明らかにした.計算法の概要を京都大学数理解析研究所講究録に投稿した. 3 中村弥生氏と共同で,代数的局所コホモロジーのannihilatorイデアルの構成法を導出し,構成したアルゴリズムを計算機代数システムに実装した.論文を投稿した. 4 計算機代数解析の観点から,Reiffenの与えた孤立特異点の族の解析をおこなった.特に,上記の研究成果を利用することで代数的局所コホモロジー類の満たすホロノミーD-加群の構造を決定し,その解空間を調べた.古典的なSebastianiの結果との類似性に関した予想がRaiffenの例では成立していることを示した.論文を投稿した. 5 制御研究所(モスクワ)のアレクサンドロフ教授,セビリアのカストロ教授らと対数的ベクトル場に関する共同研究をすすめ,クラスノヤルスク大学のツィフ教授らと多変数Mellin変換に関する研究討議を行った.また,アレクサンドロフ教授の論文をもとにいくつかの計算機実験を行い,研究遂行の準備を行った.
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