研究概要 |
平成17年度に行った研究によって得られた成果は、次の3項目である。以下、(X,‖・‖_X)は確率空間(Ω,Σ,Ρ)上のBanach関数空間を表し、f=(f_n)はΩ上のマルチンゲールを表すものとする。 1.平均振動がp乗可積分となるマルチンゲールの空間K_pは、A.M.Garsiaによって導入された空間であるが、これをした空間K(X)を導入し、K_pのノルムとL_pのノルムの間に成立する不等式(Garsiaの不等式)の拡張して、K(X)とXのノルムの間に成立する不等式を研究した。結果として、そのような不等式が成り立つためにXが満たすべき必要十分条件を確立した。 2.一様可積分なマルチンゲールf=(f_n)に対して、そのファイナルエレメントの絶対値|f_∞|から生成されるマルチンゲールをAfで表すことにする。Banach関数空間Xに対し、「fの平均振動がXに属せば、Afの平均振動もXに属す」ために、Xが満たすべき必要十分条件を得た。また、逆に「Afの平均振動がXに属せば、fの平均振動もXに属す」ための十分条件も与えることができた。更に、「fの平均振動がXに属すことと、Afの平均振動がXに属すことが同値」となるための必要十分条件を与えることができた。 3.マルチンゲールf=(f_n)に対して、その絶対値|f|=(|f_n|)が劣マルチンゲールになることは、良く知られている。研究代表者は、近年、Xがある意味で「L_∞からは慣れた空間」であれば、この|f|のDoob分解のXにおけるノルム不等式が成立することを証明した。本研究では、逆に(研究代表者の確立した)|f|のDoob分解のXにおけるノルム不等式が成り立てば、Xはある意味で「L_∞からは慣れた空間」であることを証明した。 上記の1の結果は、論文にまとめ投稿中であり、2及び3の結果は、現在論文作成中である。
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