研究概要 |
複素多様体Mに対して,Aut(M)をコンパクト開位相を入れたMの正則自己同型全体のなす位相群とする.このとき,研究代表者児玉と研究分担者清水は,複素多様体Mに,その正則自己同型としてユニタリ群の直積が効果的に作用するようなMの複素多様体構造を特徴付けるという基本的な問題を研究し,以下のような興味ある結果を得た: 定理1. Mをn次元連結スタイン多様体とする.このとき,もしもAut(M)がAut(B^k×(C^*)^<n-k>)と位相群として同型であるならば,MはB^k×(C^*)^<n-k>に双正則同値である. これは,2006年に論文として印刷公表された正則自己同型群からのB^k×C^<n-k>の特徴付けに関する結果がB^k×(C^*)^<n-k>に対しても成立することを示している.B^k×C^<n-k>には自然にユニタリ群の直積U(k)×U(n-k)が正則自己同型群として作用し,この事実がB^k×C^<n-k>を特徴付ける際に,非常に重要な役割を演ずるのであった.しかし,k≧2のとき,B^k×(C^*)^<n-k>にはもはやU(k)×U(n-k)は正則自己同型群としては働かず,更なる考察が必要であった.なお,定理1は論文として印刷公表する予定である. 次に,その正則自己同型群の位相群としての構造から複素多様体構造を決定するという基本的な問題の一つとして,我々はn次元単位多重円板Δ^nの特徴付けを与えることに成功し,論文として印刷公表した: 定理2. Mをn次元連結スタイン多様体とする.このとき,もしもAut(M)がAut(Δ^n)と位相群として同型であるならば,MはΔ^nに双正則同値である. なお,この定理の証明には,我々が従来とってきたリー群のテクニックは全く使えず,小林双曲型多様体に関する基本的な結果を用いた,より微分幾何学的手法が採用された.
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