研究概要 |
1.特異値分解やウェーブレットを使った画像処理(画像圧縮と雑音除去) 与えられた行列を,特異値分解を使って階数が低い行列で近似する場合に,その近似行列が元の行列のどのような情報を含んでいるか,また,特異値分解とウェーブレット変換と組み合わせることにより,与えたれた行列の持つどのような情報にアクセスできるかがテーマである.行列の特異値分解は統計学の主成分分析と同様な解析を行うことができるので,この特異値分解を用いて多重解像度解析を構成し,画像圧縮に応用した.また,雑音が画像(行列)の特異値にどのような影響を与えるかを調べ,このような影響を相殺するように特異値を操作することによって雑音除去を行った. 2.ウェーブレットのシステム同定への応用 線形システムとウェーブレット変換の相互作用から,線形システムの特性を決定することがテーマである.連続線形システムとウェーブレット変換の交換関係について調べ,システムの入出力のウェーブレット変換からシステムの核関数の時間周波数情報にアクセスする公式を与えた.これらの解析の離散化を行い,システム同定に応用できることを示し.数値解析例を与えた. 3.時間周波数解析によるブラインド信号源分離 複数の信号の空間的混合問題に対して信号源の数の推定と信号源の分離を行うことがテーマである.その方法のひとつに,2個の観測信号の複素数値時間周波数情報の商を用いて信号源の数を推定し,推定した信号源の数以上の観測信号を用いて信号分離する方法がある.この方法の数学的妥当性を研究している.信号源が時間周波数空間である種の独立性を満たしている場合には信号源の数の推定が可能であることを数学的に示し,そのためのアルゴリズムを提案した.
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