研究概要 |
実領域上での非線型常微分方程式の解の漸近論について研究した。またそれの応用として楕円型方程式の解の漸近的性質も解明した.具体的成果は次である: 1.種々のタイプの2階準線型常微分方程式の全ての正値解の漸近表現公式を導出した.それらはエムデン(Emden)の方程式やトーマス=フェルミ(Thomas-Fermi)の方程式に対する古典的結果の自然な拡張である. 2.特に特異な非線型項をもっ準線型方程式の場合には正値減衰解の存在性やその一意性をも確立できた. 3.1の結果と比較原理等を用いて準線型楕円型方程式の外部境界値問題に種々のタイプの正値解が存在することを示した. 4.1の結果とある種のエネルギー積分に対するリッカチ型微分不等式の解の解析とをもちいて準線型楕円型方程式(不等式)の正値解に対する種々のリュービユ(Liouville)型定理を確立した.単純化した状況下ではそれらは古典的なリュービユの定理の別証明とみなせる.(しかし,手法は周知のものと異なっている.) 5.高階(一般階数)の準線型常微分方程式に対して上記の1,2と同じテーマに取り組んだ.部分的には2階方程式と平行した結果が得られた. 6.時間遅れを持っ方程式で,解のクラスをカラマタ(Karamata)関数に限定して上記の1,2と同じテーマに取り組み,やはり同様の結果を得た.
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