研究概要 |
今年度は次の熱源を持つ準線形放物型方程式の有界領域ΩでのDirichlet問題の非負解の挙動について考えた。:u_t=Δu^m+u^p(x_0(t),t), (x,t)∈Ω×(0,T)。ただし、p>m【greater than or equal】1、x_0(t)∈Ωである。研究の目的は局所関数x_0(t)がt→∞の時領域の境界∂Ωに近付く場合と近付かない場合とに分けて大域解が有界であるかどうかを調べる事であった。 これらの問題について、まず局所関数x_0(t)がt→∞の時、領域の境界∂Ωに近付く場合を考えた。これについてはSoupletがm=1、N=1の場合、t→∞の時領域の境界∂Ωに近付くようなある局所関数x_0(t)に対し、有界でない(t→∞で爆発する)時間大域解を具体的に構成したが、一般の局所関数x_0(t)や一般の次元、またはm>1の場合に対しては非有界な大域解の存在はわかっていなかった。我々はこの問題に対してm=1で一般の次元において領域の境界∂Ωに近付くような任意の局所関数x_0(t)に対し解空間の構造を調べる事により、非有界な大域解を構成する事ができた。すなわち、u_0〓0、λ>0としλu_0(x)を初期値とする解をu_λとすると、あるλ=λ_0が存在してu_<λ_0>が、非有界な大域解となる。同時に、解の挙動についてもλの値が小さい場合に詳しく調べる事ができ。ただし、m>1の場合は解の一意性を示す事ができなかったため部分的な結果しか得られてない。ただ、m>1の時も初期値が小さい場合は大域解の減少速度、初期値が大きい場合は爆発解の爆発速度について詳しい結果を得る事ができた。 今後の課題として、局所関数x_0(t)がt→∞の時領域の境界に近付かない場合に大域解は有界かという問題が残っている。
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