研究課題
今年度の研究も、昨年度に引き続き、複素Ginzburg-Landau方程式に関するものとSobolev関数の絶対値の評価に関するものに分けられる。1.昨年度の研究実績報告書(11.研究発表)に、近刊あるいは掲載受理と記載した複素Ginzburg-Landau方程式に関する3編の論文が刊行された。詳細は、昨年度との重複をいとわずに本紙裏面に記載しておいた。2.昨年度の本概要に述べた、Temamが、無限次元力学系についての本(1988、1997)の中でAgmonの不等式と名づけているものの研究を続け、プレプリントの形にまとめた(これから投稿するところである)。これはSobolev空間に属する関数の絶対値をSobolev空間のノルムで評価する問題である。Temamの本でのL^2型のSobolev空間における結果は奇数次元と偶数次元の2つの場合に分けられているが、それらを更に2つの場合に分けた。即ち、mを自然数とし空間次元Nを、4m-3、4m-1、4m-2、4mに分けてナブラとラプラシアンを使った半ノルムでの評価を作ると、係数として現れる定数を具体的(explicit)に与えることができ、ある特別な場合には、その定数が最良であることまで示すことができた。定数が最良であることがいえるのはN=1、3の場合だけであり、実は、それらは既知の結果である。なお関数の絶対値を評価するために用いる、関数の積分表示を、Laplace作用素の基本解を利用して作るので、N=2のときには対数関数が現れてしまう。そのせいでN=2のときには計算がうまく行かず所要の評価式が作れていない。これは、L^2型のSobolev空間の理論では、N=2がcritical caseということとも関連するのかもしれない。これらの結果の一部はL^p型のSobolev空間にまで一般化できるが、ほとんどの場合にexplicit constantを与えることはできていない。それは、2階導関数のL^pノルムをLaplacianを作用させたもののL^pノルムで評価する不等式での定数がexplicitに出せないことによる。3.2006年10月の京大数理研の研究集会で会ったM.Effendiev教授(Munchen工大)と、帰京後に再会し複素Ginzburg-Landau方程式のアトラクターについて議論する機会があった。この話には若手共同研究者の横田智巳講師も参加しており、同教授の再来日が予定される2007年10月までには深い議論ができるように準備をしなくてはならない状況である。
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すべて 雑誌論文 (3件)
Partial Differential Equations and Functional Analysis, Operator Theory : Advances and Applications 168
ページ: 169-187
Differential Equations, Inverse and Direct Problems A Series of Lecture Notes in Pure and Applied Mathematics 251
ページ: 265-288
Dynamics of Cotinuous, Discrete and Impulsive Systems 13B
ページ: 305-316