研究概要 |
平成18年度の研究は17年度に引き続き,再生核となるグリーン関数を各種境界条件の下で構成し,各種境界値問題とヒルベルト空間との対応関係を調べ,ソボレフ不等式の最良定数計算への応用を中心に研究を遂行し以下の研究成果を得た.グリーン関数があるヒルベルト空間の再生核である事実に基づいて,ソボレフ不等式の最良定数,最良関数を計算した.具体的には,高階2M階微分作用素(-1)^M(d/dx)^<2M>に対する固定端,ディリクレ型,ノイマン型,自由端,周期境界条件に対応したソボレフ不等式の最良定数を計算した.固定端,ディリクレ型の境界条件を除く,ノイマン型,自由端,周期境界条件に関してはある可解条件,直交性条件を付加し対象直交化法と呼ばれる方法で一般化グリーン関数を構成することができ,再生核と対応するグリーン関数を構成することができた.固定端,自由端を除く3種類の境界条件の最良定数がベルヌーイ数,すなわちリーマンゼータ関数の偶数値で書けることが分かった.この結果は,リーマンゼータの特殊値ζ(2M)に変分学的意味づけを与えた事になる.いずれの境界条件の場合も,グリーン関数の対角線値を調べる事でソボレフ不等式の最良定数を計算することができた.以上の研究内容は現在として論文執筆中,投稿準備中である. 今年度は研究打ち合わせ,成果発表を次の通り行った.研究打ち合わせを2006年に6回(防衛大(4,5,6,7月),日大(8月))2007年に3回(防衛大(1,3月),阪大(2月))でそれぞれ行った.国内成果発表としては,2006年6月に京都大学で行われた研究報告会,9月に大阪市立大学で行われた日本数学会においてそれぞれ発表を行った.
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