固有値1の放物的不動点を持つ3次多項式に対しBranner-Hubbard-Lavaurs deformationという擬等角変形を施す。実3次多項式の場合、その実変形空間は、対応するstretching rayの集積点集合に一致することが証明できた。さらに、実3次多項式とLavaurs mapの実lifted phaseの空間でこの変形を施すと、rayが得られる。このrayはBoettcher-Lavaurs vectorのlevel curveに一致し、lifted phase方向には周期1である。このrayをlifted phaseの方向に圧縮することによりstretching rayが得られると考えると、このrayの振る舞いが、対応するstretching rayの振動を記述すると思われる。これは、A.DouadyやJ.Milnorの質問への回答を与えると期待される。 11月にLille大学に出張し、Pascale Roeschと議論する中で、critical orbit relationを持つような放物的3次多項式にはstretching rayが着地することを証明する方針が明確になり、共同研究が始まった。その後、ある種の場合には証明することができた。3月のToronto大学への出張ではstretching raysの着地点集合とbifurcation measureの台の関係についてのDujardin-Favreの仕事に触れることができた。彼らの研究は高次元複素力学系からのアプローチであるが、parabolic locusとbifurcation measureの台の交わりを求めるという興味深い問題を得ることができた。
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