研究課題/領域番号 |
17540186
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
高橋 太 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (10374901)
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研究分担者 |
鈴木 貴 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (40114516)
小薗 英雄 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00195728)
小川 卓克 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20224107)
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キーワード | ゲージ理論 / 非線形楕円型方程式 / 臨界非線形項 |
研究概要 |
研究計画の最終年度に当たる本年度において、研究代表者高橋は今までの研究成果の統括を図るとともに、以下のような研究を実施した。 1.臨界Sobolev型非線形楕円型方程式の爆発解の定性的性質の研究 高橋は、研究分担者鈴木および学習院大学・計算機センター、助教佐藤友彦による、2次元領域上でのLiouville-Gel'fant問題の非コンパクトな解の列の漸近的非退化性に関する研究に着想を得て、ゲージ理論にあらわれる種々の非線形楕円型方程式の非コンパクトな解の列に対する爆発解析、および爆発が起こることによってもたらされる爆発解の性質を調べる研究に着手した。特に既存の研究結果によって、爆発解の漸近挙動についての知見が十分によく整っている臨界Sobolev型非線形楕円型方程式の1点爆発解に対する漸近的非退化性・対称領域上での漸近的一意性等を佐藤とともに調べ始めた。これは鈴木・佐藤の結果の高次元化であるとともに、高次元ゲージ理論における爆発解近辺での陰関数定理による新たな解の構成にも知見をもたらす研究である。重調和作用素を含む場合も込めていくつかのモデル方程式に対しては結果を得ることができ、それらのうちのいくつかは既に国際的数学雑誌に掲載予定である。 2.準線形放物型方程式の爆発解の爆発集合の容量評価 本研究課題のゲージ理論にあらわれる非線形楕円型方程式は、あるモデルにおいては右辺にデルタ関数の有限和を含み、解自身もある特異集合上で値が無限大となる。このような解を本研究課題の熱流の方法により解析しようとすると、必然的に有限時間爆発を起こす放物型方程式の爆発解の、爆発時刻後の接続に関する研究に帰着する。「有限な爆発時刻において、爆発集合では値無限大をとり、その補集合では方程式をみたす解が存在するとき、その爆発集合の大きさはある程度小さいのではないか」という推測は自然であるが、これについて高橋は鈴木とともに結果を得ることができた。成果は"Capacity estimate for the blow-up set of parabolic equations"(T.Suzuki-F.Takahashi)として現在印刷中である。 本研究期間中に得られた研究成果を発表するために、高橋・鈴木は10月にChile大学を訪問し、研究集会「First Chile-Japan Workshop on Nonlinear Elliptic and Parabolic PDE」において講演発表を行った。また3月にはイスラエル工科大学(Technion)で開催された研究集会「Workshop on Variational Methods for Nonlinear PDE and Their Applications」で招待講演を行った。両研究集会を通じて、高橋は楕円型方程式論の分野で世界的に著名なYanYan Li教授の知遇を得て、今後の研究方針についても有益な示唆を得ることができた。
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