研究課題
本研究では、非可換(量子)確率空間における、新たな変形独立性の概念と、確率空間の変形量子化の可能性に関する調査研究が主な目的である。本研究においては独立性の変形をモーメント・キュムラント関係式の変形を行うのと等価であると考えることが鍵となる。モーメント・キュムラント関係式は、順序集合の分割統計の理論とも関連が深い。本研究においては、新たに構成された変形独立性を実現するモデルをフォック空間の変形で与えることも重要であり、変形合成積の正値性等の議論もこの変形フォック空間上で解析することが可能となる。平成19年度は、ある種の2径数変形フォック空間上の重要な確率変数であるポアソン型確率変数の高次モーメントに深く関連する分割統計の組合せ論への応用を行った。特に、分割の各ブロックの単独性と内部性に着目した分割ブロックの数え上げに関する結果が国際的学術雑誌に掲載された。また、自由フィッシャー情報量に関する重要な不等式に関してその別証明を与えることを行った。この手法は自由確率空間のガウス型確率変数の摂動により自由フィッシャー情報量を記述するものである。この手法はガウス型作用素の摂動が基本であるため、変形自由確率空間への応用の可能性が考えられる。現在、この変形確率空間上でのフィッシャー情報量への応用を調査研究中である。なお、この別証明も、最近、学術雑誌に掲載された。また本研究に関連して、昨夏にはポーランドアカデミー主催の国際会議での発表のためにも、補助金を活用したことも合わせて報告しておきたい。
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Infinite Dimensional Analysis, Quantum Probability and Related Topics 11
ページ: 97-108
Discrete Mathematics 307
ページ: 3147-3160