研究課題/領域番号 |
17540192
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
夏目 利一 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00125890)
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研究分担者 |
足立 俊明 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60191855)
中村 美浩 名古屋工業大学, 大学院工学研究科, 助教授 (50155868)
森吉 仁志 慶応義塾大学, 理工学部, 助教授 (00239708)
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キーワード | 擬微分作用素 / フレドホルム指数 / アティヤー・シンガー型指数定理 / C*環 / 量子化 / K群 / 巡回コサイクル |
研究概要 |
本年度は2年計画の初年度にあたる。本研究はトロント大学のG.A.Elliott、コペンハーゲン大学のR.Nest両氏との共著論文「The Atiyah-Singer index theorem as a passage to classical limit in quantum mechanics」(Communications in Mathematical Physics, Volume 182(1996),505-533)で得られた結果を拡張することを目的とする。同論文で研究代表者は平坦な空間上である種の擬微分作用素の族に対して非可換幾何学的手法を用いてアティヤー・シンガー型指数定理を証明した。本研究ではこの結果を幾何学的により興味深い双曲型空間上で証明することを目的とする。証明の背後にある平坦な空間の最も重要な性質は、任意の2点を結ぶ線分(測地線)がただ一つ存在するということである。この性質は平坦な空間特有のものではなく単連結双曲型空間、例えばポアンカレ計量を持った単位円盤、で成立する。非可換幾何学的手法は双曲型空間上でも構成される。 本研究の最も重要な部分は数値的指数を持つ擬微分作用素の族を特定し、それに対して実際に指数定理を示すことにある。 本年度の目標は擬微分作用素の族を特定する手がかりとしてラプラシアンを低次の項で摂動して得られる調和振動子がコンパクトなレゾルヴェントを持つ事を証明することにあった。この目標は達成され、これをもとに擬微分作用素の族が特定され、次のステップとして漸近展開等基本的性質をチェックする段階である。調和振動子のスペクトルの解析は数理物理学においても重要なテーマでありこの部分を独立した論文にまとめるところである。
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