研究課題/領域番号 |
17540194
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
内藤 雄基 神戸大学, 工学部, 助教授 (10231458)
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研究分担者 |
石井 克幸 神戸大学, 海事科学部, 助教授 (40232227)
桑村 雅隆 神戸大学, 発達科学部, 助教授 (30270333)
鈴木 貴 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (40114516)
佐藤 得志 東北大学, 理学部, 助手 (00261545)
田中 敏 岡山理科大学, 理学部, 講師 (90331959)
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キーワード | 非線形問題 / 自己相似性 / 放物型偏微分方程式 / 楕円型偏微分方程式 / 変分問題 / 走化性方程式系 |
研究概要 |
相似変換に関する不変性をもつ非線形放物型偏微分方程式に対して、自己相似解の解構造を解明すると共に、時間大域解あるいは有限時刻爆発解の漸近的性質における自己相似解の役割について考察を行った。とくに今年度は、Sobolevの意味で臨界指数増大度の非線形項をもつ半線形熱方程式の解の爆発現象における自己相似解の果たす役割について研究を重点的に行った。 最初に、楕円型偏微分方程式における手法である変分的手法により後方型自己相似解の構造を明らかにした。非線形項がSovolevの意味の臨界指数増大度をもつために、一般にはPalais-Smale条件と呼ばれるcompact性を保証する条件が成立しないが、ここでは方程式に現れる重み関数のエネルギー汎関数への働きにより、このcompact性が回復することを見いだすことができた。このことにより空間次元が3である場合と4以上である場合とでは、その解構造が本質的に異なることを示すことができた。さらに常微分方程式論からの1次元的な手法により、空間次元3においては裾を引きずるかのような特殊な形の球対称解が存在することを示すことができた。次に零点数非増大則を援用した比較定理により、爆発解の速さに対する判定条件を与えた。とくに解の後方時空における適当な放物領域で正値性を保つ爆発解は、必ずtype Iと呼ばれる自己相似的な速さで爆発することを示すことができた。さらに空間次元が3の場合、ある条件を満たす速さで収縮する領域においては、type IIと呼ばれる特殊な速さで爆発する解が存在することを示した。この現象は、例えば領域の収束する速度の1次オーダーが異なるだけで、起こり得なくなるという意味でsensitiveなものである。
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