研究概要 |
1.外力がSobolev-Orliczの意味で臨界増大度を持つ準線形楕円型方程式に対し研究を行い,非負,非自明解の存在についての結果を得た。さらに,主要部が多項式の増大度であるときには,解に対する正則性が証明でき,このことを使えば,非負の解に対し強最大値原理が成り立つことが示される。これらの事実を使い,正値解の存在を証明することが出来た。これらの結果はカナダ,ゲルフ大学で開催された国際ワークショップDifferential Equations and Dynamical Systems 2005において発表した。また,それをまとめたものは,雑誌Dynamics of Continuous, Discrete and Impulsive Systemsに掲載される予定である。 2.非等方楕円型方程式の研究を進めるための準備として,非等方Sobolev空間の諸性質についてまとめ上げると共に,それに関する研究を進めた。さらに一般の非等方Sobolev-Orlicz空間に対し,これらの性質がどの程度成立するかについて研究を行った。その結果,一般の場合には,ある程度の性質は引き継いでいるものの,慎重に取り扱わねばならない性質も持ち合わせていることがわかった。今後,非等方準線形楕円型方程式を研究するに際し,更にいっそう詳しい空間の解析が必要と思われる。 3.非等方Sobolev空間の性質を使うことにより,主要部が非等方ではあるが,多項式オーダーの増大度を持つ準線形楕円型方程式の多重正値解の存在について,適当な条件の下で結果を得ることが出来た。しかしこの結果は,本質的に非等方p-ラプラシアンに対するものとあまり変わりなく,不十分なものである。これらの結果を,一般の主要部を持つ方程式にまで拡張することがこれからの課題である。
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