研究課題/領域番号 |
17540198
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
大域解析学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
濱地 敏弘 九州大学, 大学院数理学研究院, 名誉教授 (20037253)
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研究分担者 |
綿谷 安男 九州大学, 大学院数理学研究院, 教授 (00175077)
湯浅 久利 慶応義塾大学, 理工学部, 准訪問研究員 (50363346)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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キーワード | 記号力学系 / finitary isomorphism / Dyeの定理embedding / orbit equivalence / Dyck shift / binary odometer / finitary orbit equivalence / finitary orbit equivalence |
研究概要 |
目標とした二つの課題(1.スライディングブロック符号による記号力学系の埋め込み、2.有限的符号化によるエルゴード的保測力学系の軌道同型)を解決し、それぞれ海外の専門誌(査読付き、Monatshefte fur MathematikとBulletin of London Mathematical Society)に公表した。前者の結果の意義は、従来Krieger等によって築かれた記号力学系の埋め込み定理が、subshift of finite typeを含む高々ソフィックシフトのクラスに限られていた限界を超えて、Dyck shiftを含むより広範囲なクラスに適用できるようにした点である。埋め込みについては、これまで力学系のエントロピー条件と周期点情報とが埋め込み判定のキーポイントであったが、われわれの研究で、周期点情報がもっと精密に分かれば、力学系のクラスを広げたときでも埋め込み判定が可能であることが明らかにされた。付け加えると、更に発展したものを現在Krieger等と共同で準備中であり、結果の一部は2005年7月ボンのシンポジウムで公表した。 後者の結果の意義は、有限的符号化の軌道同型問題を新しく提起し、軌道同型について従来からよく知られているDyeの定理がもっと深化されることを、具体的なエルゴード力学系(2進と3進のオドメター変換)に適用してそれを明らかにした点である。これにより、Dyeによる軌道同型写像が、測度零集合を除いて同相写像によって得られることが始めて明らかにされた。一体どのくらい広いクラスにこの定理が適用できるかが重要で、最終的にそれも解決し、それぞれ海外の専門誌(査読付き)、Bulletin of London Mathematical SocietyおよびColloquium Mathematicumから公表される。更にもっと重要なことは、有限的符号化による我々の軌道同型写像が、実は対象の異なる極小カントール系の分野に於いて、この10数年来未解決のある軌道同型題の解決に役立つことが分かり、このことは2006年6月ポーランドのシンポジウムで公表した。
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