研究概要 |
主に気象現象のモデルとしてCoriolis力を伴ったNavier-Stokes方程式の解析を行った。Coriolis力が大きい場合流れは2次元的になることが気象学では知られている。この現象を数学的に解明するため,本年度は以下の結果を得た。なお得られた研究成果の一部は論文としてまとめ(3編),うち2編は掲載可となったが平成17年度中には出版されないので,成果公表には記載していない。 ●3次元初期値問題の時間局所解を与えた。なお初期値として有界でsolenoida1なベクトル場のあるクラスに与えたときにはコリオリ力に対して存在時間は非一様である(Y.Giga, K.Inui, A.Mahalovとの共同研究)。初期値が原点で値を持たない有界Radon速度のFourier逆像を与えた場合は,解の存在時間はコリオリ力に対し一様にとれる(Y.Giga, K.Inui, A.Mahalovとの共同研究)。 ●3次元半空間での初期境界値問題に対して,解の時間局所的な解の存在をEkman境界層解を中心として与えた。初期値は接線方向成分は空間無限遠方で減衰しない接線方向成分を持ち,法線方向成分はp乗可積分な速度とEkman境界層解の和で与えた(Y.Giga, K.Inui, A.Mahalov, J.Saalとの共同研究)。 ●3次元半空間の定常問題の2乗可積分な解の存在とコリオリ力を無限大にしたときの解の漸近挙動を与えた。尚,この研究は引き続き行われ,現在線形化問題の解をコリオリ力による漸近展開を計算中である。 ●3次元初期値問題に関連したRiesz-Poincare作用素が生成する半群の積分表示を計算中である。 以上である。
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