特性関数項を含むエネルギー汎関数の定常、時間発展のそれぞれの問題について、特異項を滑らかな関数によって近似することによって考えられる変分収束近似理論を用いていくつかの性質を導きました。特性関数項には滑らかさおよび凸性がないため、直接既存の変分法的手法が使えません。そこで本研究のメインの手法として考えたのが、変文収束近似法の適用です。この手法は、特性関数項を滑らかな関数によって近似し、いったん第1変分(Euler-Lagrange方程式)での評価を導出し、それに基づいて目的のエネルギー汎関数の最小化関数の正則性を調べようという方法です。この方法はしかしながら近似指数を上げるにつれ、特異性が増すため、近似したエネルギー汎関数に対する評価は近似指数に関して「一様」でなければなりません。そのため、いくつかの工夫が必要になってきます。主要結果として、自由境界付近での近似最小化関数のグラフの非退化性を証明しました。また特性関数項の近似と空間変数の離散化との併用によりエネルギー勾配流の構成を1次元の場合に行いました。さらに時間変数の離散化との併用により一様連続性をもつMinimizing movementの構成に成功しました。
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