補償光学系の光学系の再設計を行い、光学系の簡素化を行った。この改良によってカメラの露光時間を短縮することに成功した。また、PCで動作する制御ソフトウェアについて、不要な処理を除くこと、および浮動小数点演算を整数演算に置き換える改良を行った。これらによって、装置全体の動作周波数が400Hzまで向上した。 組み上げた補償光学装置を実験室でのシミュレーション実験によって調査した結果、99Hzまでのゆらぎの補償に有効に働くことを確認した。平均フレーム間相関では、補償光学の使用によって0.67から0.83まで、ストレール比では0.12から0.58まで向上した。 装置の性能について理論解析を行った結果、遮断周波数が105Hzであり、シミュレーション実験の結果と非常によく合致していることを確認した。 開発した装置を飛騨天文台での太陽観測に適用した結果、D/r0=14程度のシーイング状態の場合でも装置が有効に動作することを確かめた。太陽像のコントラストが補償光学系の使用によって0.036から0.041まで向上した。 これらの結果から、飛騨天文台での太陽観測に必要とされる補償光学系の性能を検討した。装置の動作周波数についてはさらに高速化する必要があることがわかった。また、可変形鏡については50ch程度でストロークの大きいものが必要であることが明らかとなった。 得られた成果については、Optical Review誌に論文として公表した。
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