研究概要 |
衝撃波加熱によるコンドリュールモデルの研究を進めた。 本年度は主に,2つの効果に着目した。一つは,ガス流の動圧が衝撃波後面のダスト粒子に与える影響についてであり,もう一つは,輻射輸送がダスト粒子加熱に与える影響についてである。 衝撃波加熱現象においては,ダスト粒子とガス流の間に相対速度が存在する。これによってダスト粒子は摩擦加熱を受けるわけであるが,一方でこれは,ダスト粒子に対して動圧を与える。このガス流動圧により,ダスト粒子が変形することが考えられる。その変形の程度や形状について,解析的および数値的に検討を行った。その結果,衝撃波加熱現象で期待される動圧の効果によって,ダスト粒子は溶融した後プロレート形状(ラグビーボール型)やオブレート形状(どら焼き型)に変形し,さらにその変形を保ったまま再固化する可能性が高いことがわかった。これは,観測されるコンドリュールの形状の特徴と一致している。さらにその変形の程度は,やはり観測される値とよい一致を示すことがわかった。 一方,衝撃波加熱現象において,熱エネルギーが輻射によってどのように輸送されるかという問題を,従来よりも正確に考慮して衝撃波加熱現象を数値シミュレーションした。これにより,現実のコンドリュールを作り得る衝撃波の条件を,定量的により精度良く明らかにすることが出来た。これは従来よりもはるかに精度良く数値モデルと観測結果の比較が可能になったことを意味し,コンドリュール形成の研究を,質的に一段高めることになったと思われる。
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