研究課題
基盤研究(C)
先に、ISO、Stratoscopeなどによる赤外スペクトルの解析から、赤色超巨星の外層には、光球、彩層、膨張ガス-ダスト雲以外に、第4の構成要素として、温度が1000-2000Kの"暖かい分子層"が存在することを示したが、この結果は、最近の空間高分解能観測からも支持されている。このような光球外の分子領域-簡単のため分子光球またはMolsphereと呼ぶことにする-の存在はようやく認められつつあるが、次の問題はその構造、特に動力学的構造を解明することである。この目的のため、M型超巨星Betelgeuse(α Ori; M2Iab)について、最近の光球モデルや基礎的物理量の改定なども考慮して、KPNO FTSスペクトルの再解析を行った。まず、COスペクトルの光球成分の解析から、化学組成、ミクロ乱流速度などの改定を行った。この結果に基き分子光球成分を分離し、分子光球の励起温度、柱密度を決定した。また、視線速度、特に分子光球の寄与が異なる低励起と高励起のCOスペクトル線の時間変動の解析を行った。その結果、分子光球は光球に対して数km/secの相対速度を示すが、時間的に流入と流出が交代していることが明らかとなった。このことは、分子光球が衝撃波による加熱、圧縮によるとするモデルは支持されないことを示している。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (3件)
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