研究課題
1)咋年度はメジアンの赤方偏移で0・3(約30億年前の宇宙)における、活動銀河核の巨大ブラックホール質量とその母銀河のスフェロイド成分の光度との関係を調べ、現在みられるその関係と有意な差がないことを見出した。今年度はこれを赤方偏移1付近すなわち約80億年前の宇宙までさかのぼり、その時代に存在する2型の活動銀河を用いてこの関係を調べた。その結果、ブラックホール質量の星質量に対する比が現在の宇宙で見られる比の値より大きいことが示唆された。このことは、宇宙論的なタイムスケールでは、巨大ブラックホールが先に進化し、星形成が後から起こったことを示唆するものであり、両者の共進化についての非常に重要な知見を得ることができたと考えられる。2)赤方偏移2付近(約100億年前)の宇宙において、知られている中では最も吸収が激しいと考えられるクエーサーの種族の探査を行った。数例を発見し、その性質を詳しく調べた。これらのクエーサーは形成期にあるクエーサーである可能性があり、爆発的星生成が共存している可能性が考えられる。そこで、分子ガスを用いてその有無を調べたところ、極めて大きな星形成を示すものではないことが分かった。3)近傍宇宙にみられる狭輝線タイプ1セイファート銀河と呼ばれる活動銀河核には、成長途上にあるブラックホールが存在すると考えられており、非常に若い位相の活動銀河核と考えられる。このような成長期にあるブラックホールが存在するとすると、銀河の中心部分においても激しい星形成が存在する可能性が考えられる。そこで、分子ガスによる詳細観測を行ったが、有意に共進化が見られるわけではないことが分かった。これらより、宇宙論的タイムスケールでは先にブラックホールが成長したらしいこと、ブラックホール成長と星形成は非常に厳密には同時に進化しているわけではないらしいことがわかってきた。
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