2007年5月に岡山天体物理観測所の高分散分光器により、惑星を持つ恒星(PHS)約20星の可視光域スペクトルを得た。このデータに基づき、19年度に炭素、酸素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、硫黄、カルシウム、チタン、及び鉄族元素(鉄、マンガン、ニッケル、亜鉛)の13元素について組成を求めた。これらの標本と以前の解析済み標本星も含めて厚円盤星と薄円盤星に分類し、惑星を持たない恒星の組成と比較して、組成の振る舞いを調べた。この結果は、日本天文学会2007年秋季年会において発表された。また、文献から採用した惑星を持つ恒星も合計した約80星の標本について、元素の振る舞いと系外惑星の物理量(質量、軌道長半径、離心率)との間の統計的相関について調べた。この結果は、日本天文学会2008年春季年会(3月)において発表された。 おもな結果は以下のとおりである:(1)アルファ元素は特に、金属欠乏領域で惑星を持たない星(非PHS)より超過傾向を示す。(2)PHSのチタン平均値は、全ての金属度領域で非PHSより欠乏している。(3)惑星の質量と軌道長半径との統計の結果、組成が太陽値以上の領域にのみほとんどの close-in 惑星(ホットジュピター)が存在する。これはII型migrationに金属度依存性が存在することを示唆する。(4)元素の振る舞いは有効温度と重力に対して相関を示さない。
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