研究課題
平成18年度においては、研究計画に従い以下の研究を推進した。1.既存設備による観測の遂行:研究代表者、研究分担者が協力して前年度に引き続き、東大・木曽観測所の105cmシュミット望遠鏡と2048x2048ピクセルCCDカメラによりVバンドでダストシェル探査を進めた。このシステムはコロナグラフを持たないため前年度までの検出は、うみへび座U星の半径120秒角に広がるダストシェルのみであった。そのため今年度は、前年度からの継続でこの星のモニタ観測を実施した。約一ヶ月の間隔で合計5回の観測を実行し、ダストシェル輝度の時間変動性について検討を加えた。その結果、観測期間中のダストシェル輝度の変化は0.3等級以下であった。同期間の中心星の変光幅も0.3等以下であったため、ダストシェルを照らしている光源の特定、ひいては、ダストシェルの質量見積の精度を高めるにはまだ至らなかった。2.恒星コロナグラフの製作:前年度に引き続き、恒星コロナグラフの設計・製作を研究代表者、研究分担者が協力して進めた。前年度に光学会社に依頼して作成した光学系の基礎設計をもとに、今年度は機械系、制御系まで含めた具体的なシステムの基本設計を研究代表者と研究分担者で行った。それをもとに、一体物のコロナグラフとしての詳細設計と具体的製作を順次光学会社に依頼した。その際、光検出器として富山市天文台所有のCCDカメラを組み込めるよう配慮した。出来上がったコロナグラフ本体の結像性能は、前年度の光学設計の仕様を満たすものであることが確認された。このコロナグラフをぐんま天文台の1.5m望遠鏡に装着した場合には、視野8分角の全域で、B, V, R, Iの4バンドにわたりシーイング(1.6")限界が得られる。これらにより、次年度にコロナグラフの組立調整と試験観測に進むための準備が整った。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 372
ページ: L63-L67
The Astrophsical Journal Letters 648
ページ: L39-L42