|
私の今年度の研究成果は、摂動QCDポテンシャルとlattice計算によるポテンシャルの結果との比較からlattice scale(Sommer scale)r_0とΛ_<<MS>^^^->との関係が精度良く決まることを示したことである。(Physical Reviewに投稿中。)最新のlattice計算結果と摂動QCDによる計算結果、および演算子積展開(OPE)を組み合わせ、また必要な繰り込み処方を開発した。これによって、r_0とΛ_<<MS>^^^->との関係を決めるための新しい方法を与えた。QCDポテンシャルの摂動計算が比較的容易であるため、従来の方法と比べて、将来的にはより高い精度を実現できる方法であると考えられる。またこの方法は、将来的にα_S(M_Z)を高精度で決定するための礎となる。これを踏まえて現在、私はQCDポテンシャルを用いてΛ_<<MS>^^^->を決定する方法を発展させて、強い相互作用の結合定数α_S(M_Z)を高精度で決定する準備を進めている。上述の通り、既に私はquench近似においては、この方法でΛ_<<MS>^^^->とlattice scaleの関係を高精度で決定した。同じ方法をdynamical fermionが入った場合にも適用するという計画である。今後数年のうちに、現実に近い質量を持ったdynamical fermionを含むlattice計算が行なわれる予定である。一方、QCDポテンシャルの摂動計算においてはdynamical fermionの効果はすでに計算されている。従って、lattice計算の結果が得られれば、lattice scaleとΛ_<<MS>^^^->の関係を高精度で決定でき、lattice計算で決まった物理的スケール(例えばρメソンの質量)とα_S(M_Z)を高精度で関係付けることが出来る。即ち、低エネルギーでの高精度(かつ現実的な)lattice計算と高エネルギーでの基礎物理定数α_S(M_Z)をつなぐinterfaceとしてQCDポテンシャルを使うのが有効であると考え、これを推進している。
|
