研究概要 |
約2万5千年前の年輪試料は山形県上山市の須川から出土したもので、約130年輪あり年輪幅は0.2mmから1.8mmの間に分布していて平均は約1mmであった。年輪幅のスペクトル解析をしたところ11年の周期性が見えており気候変動との関連が考えられる。測定試料の準備として1年輪ごとの剥離を行い年輪毎に約2gから5gを得ている。外周年輪を極低レベル液体シンチレーション法により測定し22169±86放射性炭素年代を得た。2万年まえの太陽11年周期活動を調べるためには1年輪毎の炭素14濃度の高精度測定が必要であり、測定時間の制約から加速器質量分析法(AMS)を用いた。AMS法の測定精度の安定性を調べるために年輪中央部の3つの単年輪試料について2個のグラファイトを作成して測定値の比較を行った。それぞれ約22000放射性炭素年代に対して互いの差が0.4%,0.06%,0.03%であった。このことからグラファイト作成および測定の安定性が確認できた。この年輪中央部の平均放射性炭素年代は重み付平均で22364±29であった。C14年代と暦年代の較正曲線はC14年代で21500年、暦年代で26000年までのIntcal04が2004年に出ている。しかし、その先はいくつかの較正曲線が提案されており不確定性が大きい、最近コロンビア大学で出したC14年代と暦年代の較正曲線により暦年代を求めると26844±82年である。大気中C14濃度は15000年から過去は濃度が現在の約40%増加しているモードにありこの年輪が地磁気の変動と太陽活動の変動の効果を比較するのに適している年代にあることが分かった。
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