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2005 年度 実績報告書

ポジトロニウムを用いた量子電磁力学(QED)高次補正の実験的検証

研究課題

研究課題/領域番号 17540236
研究機関東京大学

研究代表者

小林 富雄  東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 教授 (50126059)

研究分担者 浅井 祥仁  東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教授 (60282505)
キーワード素粒子実験 / ポジトロニウム / 量子電磁力学 / 高次補正
研究概要

1.オルソポジトロニウムの寿命を高精度で測定するセットアップを構築した。従来の実験では統計誤差(約170ppm)が主要な実験誤差であり、特に高統計なシステムが必要であった。シミュレーション(Geant4)と予備実験により最適なシステムを設計し、開発を行った。主な改良点を以下に挙げる。
*時定数の短いYAPシンチレータを基にセットアップを構築した。この結果、時間分解能(400ns)の大幅な向上を達成した。また、パイルアップ事象が削減されることで線源強度を強くすることが可能になった。
*陽電子エネルギーが比較的高いGe-Ga線源を用いることで、従来ポジトロニウムの生成効率を低下させていたトリガー用プラスチックシンチレータ中での対消滅を抑制した。逆に、減速材(SiO2)からエスケープする陽電子が無視できなくなり、プラスチックシンチレータにより捕捉し抑制する機構を導入した。
*高速なADCとクレートコントローラによりデータ収集速度を約4倍に引き上げた。
2.実際に構築したシステムを2ヶ月間運用し、従来のシステムと比較して約10倍の統計量になることを確認した。これは、4ヶ月で約100ppmの統計量に相当する。
3.新しいセットアップによりオルソポジトロニウムの長期寿命測定を開始した。また、系統誤差の研究を開始した。主要な系統誤差として、半導体検出器特有の緩やかな立ち上がりの信号がある。これは電荷を集める電界が一様でないために生じるものであり、この為検出された位置により時間立ち上がりが異なる現象である。現在位置依存性を考慮してこの効果を取り込む研究を進めている。この方法は一般出来れば、従来時間分解が悪いと思われていた半導体検出器の性能向上に役立つものある。

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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