研究課題
基盤研究(C)
本研究は、西播磨のSPring-8で2003年に発見されたペンタクォークバリオンに特徴的な「軽い質量と極めて小さい崩壊幅」を、弦理論における最近の発展を用いて、新しい視点から説明することを目的とした。QCDと双対関係にあるD4/D6系を用いてペンタクォークの質量を簡単な近似を用いて評価すると共に、これが核子とメソンに崩壊する時、ループを伴った中間状態を経由することから崩壊率が小さいことを定性的に説明した。ペンタクォークが持つストリングジャンクションのエネルギーQCDを再現する理論を用いて評価し、負の値を得た。従ってジャンクションの数を増やすことによって、フラーレンのような弦とジャンクションからなる安定な構造物が存在する可能性がある。弦理論を用いたメソンの形状とクォーク間ポテンシャルに関する研究においては、異なる(質量の)フレーバーを両端にもつメソンの形状が距離によって変化し、特定の距離でクォーク間ポテンシャルに変曲点が現れることを見出した。これにより重いフレーバーをもつハドロン物質のポテンシャルが深くなり通常より密度が大きくなる現象を説明できるかもしれない。弦理論を用いてハドロンにスピンを導入する研究を行った。2次元超対称性シグマ模型を用いてスピンの分布関数を計算した所、弦の中心部に60%以上のスピンが分布することが分かった。この結果は「スピンクライシス」の理解に役立つだろう。弦理論を用いてハドロンの質量及び崩壊率を計算するときに必要な運動項を、弦の場の理論とWKB近似を用いて計算する手法を研究した。非可換(non-commutative)ゲージ理論と重力との双対関係を用いて、グルーボールの質量スペクトルを計算した。開弦の両端に場を配置するバース・ハンソン弦模型を用いて、弦理論の有効作用である非可換ボルンインフェルト作用を、自然に導出する方法を提案した。
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