研究概要 |
〔マルチフォトダイオードとVLSIチップを用いた低消費電力、多レンジ信号読み出しシステム開発〕面積の異なる4つのPD(10mm×20mm,10mm×10mm,φ7mm,φ1.1mm)とVLSIチップを用いたヘッドアンプモジュールによるBGO信号読み出しシステムを開発した。フロントエンド回路にはIDEAS社のVA32_HDR14が使用されており、消費電力は64chで約350mWである。LED光源、宇宙線ミュー粒子による測定、重粒子照射実験を行った結果、3つのフォトダイオードを用いて1MIPから約10^6MIPs以上まで測定可能であることが分かった。 [VA32_HDR14.2の開発]フォトダイオード用読み出し回路に最適化するために入力信号の極性を変更したVA32_HDR14.2を新たに開発した。このチップでは0.35μmテクノロジーが採用されており放射線耐性やノイズ性能が大幅に改善されている。 [トリプルフォトダイオードパッケージのデザイン]宇宙等での実際の使用のため、面積の異なるシリコンを1つのセラミックス上に載せたパッケージを新たに開発する必要がある。既存のPD(浜松ホトニクス、S3590-08、S3072、S5972)のシリコン感面をそのまま使用し、BGOを用いて1MIPをADC感度約3%で測定し、10^6MIPsまで観測可能な検出器を製作できることが分かった。 [放射耐性テスト]VLSIチップの耐放射線性を調べるためのビーム照射実験を行った。VA32HDR14(0.8μmプロセス)とVA32HDR14.2(0.35μmプロセス)にHeを照射して、トータルドーズ効果によるノイズレベル、ゲインの変化をテストパルスによって測定した。VA32_HD14には1.6Mrad、VA32HDR14.2には74kRad照射したが、どちらのチップにも大きな射線損傷の影響は見らなかった。
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