研究課題/領域番号 |
17540242
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
宗 博人 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (20196992)
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研究分担者 |
五十嵐 尤二 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (50151262)
伊藤 克美 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 助教授 (50242392)
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キーワード | 素粒子論 / 場の理論 / 格子ゲージ理論 / 超対称性 / 繰り込み群 |
研究概要 |
今年度(平成18年度)は、1 市松模様格子上で表されるスピナー・スカラー・ベクターモードの同定と連続極限のとり方 2 高次元超対称性の格子上での実現 3 非摂動繰り込み群と超対称性の両立 の3点の研究を主に行った。 1について 市松格子上のフェルミオンは(格子フェルミオンの宿命として)、縮退しており、超対称性を実現するには、この縮退を解かなければならない。空間次元をDとしたとき、SO(2D)のクリフォード代数が重要な市松格子上のフェルミオンの構成に重要なことがわかったので、この代数から、SO(D)不変に縮退を解く(スピナー・フレーバー自由度の分解)ことを試みた。これについては、平成18年度に一定の成果は出たので、平成19年度も引き続いて研究し、論文としてまとめる予定である。さらに、スカラー・ベクターの自由度の問題は、平成19年度引き続いて研究予定である。 2について 高次元の理論を格子上で実現するにはどういう障害があるか、また計算方法はどうすればいいかを研究した。手始めに、0次元の理論での一般的な障害を研究し、論文にまとめた。(題目:Zero-dimensional analogue of the global gauge anomaly)より高次元の場合も、障害が重力の場合に関しては、研究の成果が得られた。(題目: Overlap lattice fermion in a gravitational field)また、高次元ゲージ理論についても、数値計算を始めた。これについては、平成19年度で引き続き計算し、論文にまとめる予定である。 3について 非摂動繰り込み群(ウィルソン流繰り込み群)では、しばしば系の持つ対称性と正則化が矛盾する。超対称性もそこに含まれるフェルミオンの対称性(カイラル対称性)と正則化の方法が問題となる。今回は、特にカイラル対称性を持つフェルミオン系について、正則化に依存した対称性を議論した。バタリン-ヴィルコヴィスキーによる反場形式を用いると、マスター方程式の成立が(変形された)対称性の存在を保証することが分かった。また、くりこみ群の流れの式において変形された対称性がどの様に維持されるのかを議論した。これについて論文にまとめて発表した。(題目:A realization of chiral symmetry in Wilsonian RG)
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