研究概要 |
次年度に予定されている不安定核酸素20の中間エネルギー陽子弾性散乱から酸素20の密度分布を抽出する実験のために不安定核ビームを実際に用いた各種のテストを行った。1)放射線医学総合研究所のシンクロトロン(HIMAC)で加速された高エネルギーネオン22の核分解反応から生成される酸素20の収量を測定し、毎秒10万個以上と想定のビーム強度以上生成されることを確認した。2)弾性散乱とそれ以外の散乱を区別するにはエネルギー高分解能の測定が必要になる。入射酸素20ビームの運動量を測定するためにビームライン中に挿入する運動量タギングカウンターとしてPPACとファイバーシンチレターの2種類の検出器を試作し、その性能テストを東北大学サイクロトロンRIセンターと放医研で行い、比較した。測定効率の観点から酸素20の実験にはSciFiを採用することに決定した。これらの結果をハワイで開催された日米合同物理学会で発表した。3)タギングカウンターをビームラインに設置するための真空箱、排気セット、真空安全装置を製作し、HIMACビームラインに挿入することに成功した。4)厚さ5mmの固体水素標的およびNaI(T1),プラスチックシンチレーター,MWDCを装備して全検出器系の総合テストを2月にHIMACからの酸素20ビームを用いて行った。データ収集には成功し、現在シンチレーレーターの発光効率の位置依存性等を考慮したデータ整理および解析に取り組んでいる。5)これらと並行して酸素領域核での核内有効相互作用を較正するための陽子弾性散乱実験のために酸素16、18の氷ターゲットの準備を進めた。
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