研究概要 |
本研究において、研究代表者の二宮は、ホルガー・B.ニールセン博士(デンマーク国立ニールス・ボーア研究所、教授)と共同で、素粒子論的量子宇宙論と統計熱力学の第2法則(エントロピー増大の法則)を統一的に記述する理論を提唱した。具体的には、半現象論的な現在のエントロピーの定式化をもとに、更にその背後に存在すると予想される基本法則の一般論を展開した。実際に我々のこの理論を用いることによって場の量子論的宇宙論の長年の難問:宇宙定数は観測上、何故極めて小さいのか、またインフレーション理論における様々な難問、に回答を与え得ることを示した。 二宮はまた超弦の生成、消滅を記述する超弦の場の理論の研究を進展させるため、これまで唯一、無矛盾な光錘ゲージの弦の場の理論の成果と反省の上に立って、フェルミオン場だけでなくボソン場に対してもフェルミオン場と同様に負エネルギーモードも含めた、全てのモードに対する量子化法を追求した。実際、ホルガー・B.ニールセン博士と共同で、ボソン場に対しても,(ディラック流の)負エネルギーの海を構成することにより、新しい量子化法を定式化した。この方法によって場の量子論における奇異な事実:カイラルフェルミオン場の異常項、共形場の異常項などが極めて物理的に理解できるようになり、新しい発展が期待される。また弦の理論の新しい量子化、されには弦の場の理論の構成に展望を与えると考える。 研究分担者の川合は、彼自身が提唱した、超弦理論の非摂動的定式化である行列理論を用いて、曲がった空間をどのように記述し導出するか、つまり一般相対論の導出を研究した。
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