研究課題/領域番号 |
17540264
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
清水 清孝 上智大学, 理工学部, 教授 (00143363)
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研究分担者 |
竹内 幸子 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 教授 (90251503)
井上 貴史 上智大学, 理工学部, 助手 (80407353)
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キーワード | ペンタウォーク / クォーク相関 / 中間子-バリオン散乱 / ラムダ(1405) / SU(3)バリオン / SU(3)メソン |
研究概要 |
Spring8において、γ+n→K^++K^-+n反応におけるn+K^+の不変質量分布から質量がおよそ1540MeV、崩壊幅が20MeV程度のペンタクォークと呼ばれる粒子が発見された。この粒子は、ストレンジネスが+1のバリオンであると考えられ、反sクォークを含むために、3個のクォークでは記述できない。K中間子と核子の共鳴状態と考えられるが、崩壊幅がかなり小さく長い寿命を持つことから、K中間子・核子系とはかなり異なる状態で記述されるクォーク5体系であると考えられる。我々は構成子クォーク模型を使い、バリオンの記述で成功を収めている、グルオン交換相互作用(OGEP)を基本とする模型、およびカイラル対称性の自発的破れに伴い現れるゴールドストーンボソン交換(GBE)が主要な役割を果たす模型を用いて、クォーク相関を考慮したペンタクォークの記述を試みた。閉じ込め力を修正してK^++nのチャネルが開かないようなモデルでは、質量はかなり高いところにでることが分かった。またΘ^+をスピンが1/2^-とした波動関数を使ってK^++nへの崩壊幅を計算したが実験値に比べてかなり大きい値になった。これらの結果より、我々はペンタクォークのスピンは3/2^-であると考えた。しかし厳密な議論においては、連続状態であるK^++nのチャンネルが開いているわけだからペンタクォーク状態を求める場合にもこの連続状態との結合チャンネルの計算が必要である。この点を考慮する方法としては、K^++nの散乱問題をクォーク・クラスター模型で記述した。この方法で問題となるのは、単純なクラスター模型では多分入らない非常に特異な配位をもつペンタクォーク状態をどのように考慮していくかと言う点である。今年度は、バリオンとして、SU(3)の8重項と10重項、メソンとして8重項の擬スカラーとベクトルメソンを考慮した散乱問題を考察した。またこれらの散乱問題の一つとしてラムダ(1405)の状態もペンタクォークとして記述する研究も行っている。
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