研究課題/領域番号 |
17540265
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
高柳 和雄 上智大学, 理工学部, 教授 (30183859)
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研究分担者 |
清水 清孝 上智大学, 理工学部, 教授 (00143363)
吉澤 香奈子 上智大学, 理工学部, 研究員 (70439339)
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キーワード | 有効相互作用 / スピン相関 / 近距離相関 / 相転移 / 量子ドット |
研究概要 |
今年度は、研究の目的である、(1)電子の媒質中での多重散乱をあらわす電子間有効相互作用(G-行列)、および(2)量子ドットの応答関数、の2方向に対して次のような研究実績を上げることができた。(1):電子系においては、クーロン力が長距離力であるために、2次以上の多重散乱による部分を、近距離相関を表すG-行列と定義する。この際に、 G-行列を自動的にエルミートにするためにR行列(reactance matrix)形式での散乱理論を使うのが一般的である。これまで、 R行列理論での散乱状態に対する双直交基底は知られていなかったが、それを与える一般理論を完成させた。これは非エルミートな相互作用への拡張も可能な理論であり、有効相互作用や散乱の理論に大きなインパクトを与える成果であると考える。現在、特にVlowkと呼ばれる有効相互作用に対して興味ある応用が始まっているところである。(2):量子ドットは2次元電子系のサイズを小さくしていったものであるが、元の2次元電子系の強磁場下での相転移を平均場の枠組みで調べることに成功した。まず理論的には、応答関数が示す系の不安定性と、 Hartree-Fock理論での基底状態の安定性を統一的に見る枠組みを完成させている。これを使って、数値計算により、密度(rs)とゼーマンエネルギー(EZ)平面上で〓=2の量子ホール系の相図を完成させた。特に常磁性から強磁性の相への転移の途中に、 EZが小さな領域ではスパイラル型のスピン密度波状態が基底状態になることを示した。これは、基底状態と励起状態を矛盾なく扱う理論的枠組みの有効性を示す重要な結果であると考えられる。現在、この理論的枠組みを使って、〓=4の系に対して、逆方向の強磁性相から常磁性相への転移の途中でのスピン密度波状態について興味ある結果が出てきているところである。
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