本年度は、大質量星の重力崩壊の長時間進化をいろいろな側面から研究した。超新星コアの1次元球対称なダイナミクスのシミュレーションでは、バウンス後1秒にわたる輻射流体力学の計算を行い、状態方程式の違いが与える影響を明らかにした。この研究の延長として、ブラックホールをつくる重力崩壊モデルの計算も行い、ニュートリノ放射における通常の超新星とは異なる特徴を指摘した。これは現在Physical Review Lettersに投稿中である。一方、降着衝撃波の非球対称摂動に対する不安定性を数値的に解析し、そのメカニズムと超新星爆発に果たす役割を明らかにした。さらにこの不安定性へニュートリノとアルファ粒子との非弾性衝突が及ぼす影響も調べた。この結果は現在論文にまとめているところである。また、このモードの線形段階での不安定性の振る舞いも現在解析中である。原始中性子星の冷却を含む更なる長時間計算をするため、準定常近似を用いたコードを開発し、これまでにバウンス後5秒まで計算ができている。 一方、多次元の輻射輸送計算は、流束制限つき拡散近似モジュールがほぼ完成し、流体モジュールと結合したテストの最終段階に達している。コンパクト天体の形成に関する磁場の役割に関する研究では、マグネター表面からのニュートリノ風への超強磁場の影響を1次元のラグランジ法を用いて調べた他、ブラックホール形成に伴うジェットの生成とそこでの元素合成についてオイラー法を用いたシミュレーションにより系統的に研究し、その結果を発表した。
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