研究概要 |
原子核,天体核物理学および凝縮系物理学における新しい実験方法として,超流動ヘリウム中と表面における放射性イオンと原子の挙動の研究を行った. 1)重いイオンが,軽いイオンのように超流動ヘリウム中で創るスノーボールの生成効率を改善し,不純物の易動性を制御し,負の帯電体(負イオンや電子)の場合ように,超流動ヘリウム液面から正イオンを取り出し搬送する条件を調べた. 2)本年は新たに,低温のヘリウム蒸気中での搬送について,気体が電離される場合について実験に取り組んだ.これは高エネルギーの放射性核ビームの停止体中で問題となるイオンの再結合を調べるためである. 3)正イオンの表面からの取り出しには電場と第2音波の併用が効果的であることを以前示した.さらに強い第2音波のもとでの研究を行った.過度の第2音波強度はヘリウムの温度上昇のためイオンの移動を妨げ,取り出し効率は却って低下する.本年度新たに得た知見は超流動ヘリウム中におけるイオンの存在時間についてである.まだ,十分に定量的ではないが,実験に持ちた線源219Rnの半減期と同程度であることが分かった. なお,研究,実験場所は,大阪のほか,オランダ・フロニンゲンのKVI,ドイツ・GSIダルムシュタットである.また,フィンランド・イワスキラ大学で行った実験の解析と検討を行った.
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