研究課題
1.「高密度クォーク物質中での強磁性相の自発的生成とそれに伴う強磁場出現のメカニズムの解明」1)高密度クォーク物質のスピン偏極をフェルミ流体理論で分析した従来の計算の不備を確認し、硬熱・硬密度ループ再加算有効摂動理論での新たな分析に着手した。密度とともに温度効果も取り入れ、さらにクォーク質量の効果も評価できる計算法を考案して分析を進めつつある。2)diquark凝縮を扱えるNJL模型を、偏極した2フレーバークォーク物質の場合に拡張して各相での熱力学ポテンシャルを評価することで3つの相の共存/転移構造を分析し、カイラル凝縮を伴うカラー超伝導クォーク物質中での強磁性相の生成を調べた。結果は基研研究会や日米合同物理学会で発表した。3)熱QED/QCDにおけるフェルミ粒子質量関数に関する硬熱ループ再加算improved ladder DS方程式の解をゲージ不変性を担保して求める処方を開発し、少なくとも数値解析の範囲内ではゲージ不変な解を求めることに成功した。今回の分析により、DS方程式に基づく有限温度QED/QCDの相構造の分析においては、始めて物理的に意味のある結論を得ることができ、ゼロ温度強結合QED/QCDにおけるLandau gaugeでの分析と同じレベルの分析を実行できた。結果は日米合同物理学会、国際Workshop、研究所報等で発表した。2.「ラグランジュ形式によるクーロンゲージQCDのエネルギー発散の相殺と繰り込み可能性」量子場理論の摂動論が無矛盾であるためには摂動の任意の次数での繰り込み可能性が証明されなければならない。H形式ではこの証明は既になされていたが、L形式では未だなされていなかった。本研究でL形式でのクーロンゲージ非アーベル型ゲージ理論の繰り込み可能性を証明した。さらに、L形式を用い、全てのエネルギー発散が繰り込み可能性と両立する形で摂動の全次数で相殺されることを証明した。結果は基研研究会、物理学会、雑誌Phys.Rev.D、Prog.Theor.Phys.等で発表した。
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総合研究所所報(奈良大学) 15号
ページ: 87 - 105
Proceedings of the International Workshop on Origin of Mass and Strong Coupling Gauge Theories (SCGT06), Nov. 21-24, 2006, Nagoya University, Nagoya, Japan, hep-ph/0703134 (to appear)
Physical Review D 74巻4号
ページ: 045021-1-9
Physical Review D 74巻10号
ページ: 105016-1-10
素粒子論研究 114巻3号
ページ: C37- C39
ページ: C138 - C140