研究課題/領域番号 |
17540273
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小田原 厚子 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教授 (30264013)
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研究分担者 |
福地 知則 大阪大学, 大学院理学研究科, 特任研究員 (40376546)
本村 信治 理化学研究所, 加速器利用展開グループ, 基礎科学特別研究員 (20360654)
下田 正 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (70135656)
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キーワード | 実験核物理 / 放射線、X線、粒子線 / CdTe検出器 / コンプトンカメラ / ガンマ線位置検出 |
研究概要 |
本研究の目的はストリップ電極型CdTe検出器を用い、コンプトンカメラの開発を行うことである。コンプトンカメラとは、検出器結晶内のコンプトン散乱を追跡し、ガンマ線源の位置を測定する装置である。将来的に実験核物理分野のガンマ線核分光用測定装置や医療、化学、生物、工学等の分野への応用を目指している。CdTe結晶はガンマ線検出器の半導体として最近、急速に開発が進んでいる。大きな原子番号を持つため、ガンマ線に対してゲルマニウムやシリコンに比べて大きな検出効率を持ち、また、コンプトン散乱断面積も大きい。ゲルマニウム半導体と比較して価格が低く設定できる。更に、室温で使用できることから、メンテナンスが容易で検出器の配置の自由度が大きくなる。 このような利点を持つCdTe検出器ではあるが、他の半導体検出器に比べて、キャリアの移動度と寿命の積μτは小さく、特に正孔のμτ値が電子と比べてさらに一桁小さい。従って、結晶が厚くなると電荷を集めきれず、結晶内でのガンマ線の相互作用位置によって電荷の収集効率が異なり、波高が変化する。つまり、ガンマ線の光電ピークに対してテール成分を形成するという問題点を持つ。 今年度は、昨年度製作したストリップ電極型CdTe検出器のテストを行った。また、市販の3mm厚のCdTe検出器を用い、分解能、S/N比、光電ピークの効率の向上のための補正法の確立を行い、測定結果をシミュレーションコードGeant4による計算と比較した。第1の方法として、プリアンプの信号を2つに分け、早い時定数と遅い時定数により電子と正孔の寄与を分別して波高を補正した。第2の方法として、プリアンプ信号の波形を解析することで、立ち上がり時間を求めて波高を補正した。その結果、S/N比の向上と分解能4%を達成した。また、後者の波形解析法では、検出器内でガンマ線が相互作用した深さを求めることにも成功した。
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