研究課題
大強度陽子加速器において空間電荷力によるビーム不安定性を克服するには、ビームが縦方向に一様な形状を持つように整形することが不可欠である。このような整形装置は第2高調波空洞と呼ばれ、その開発研究を、日本(日本原子力研究開発機構、高エネルギー加速器研究機構)、英国(ラザフォードアプルトン研究所、RAL)及び米国(アルゴンヌ研究所)が共同で行ってきた。その結果、出力インピーダンスが非常に低い(約30オーム)高周波加速装置を完成した。出力インピーダンスが小さいことは、波形整形に必要な高精度の位相制御がビーム負荷に影響されること無く達成できるメリットを有する。RALには世界最高のパルス中性子源であるISISシンクロトロンがある。このシンクロトロンを使ったビーム試験を行う為に本高周波装置をISIS施設に移設した。平成17年8月、再組立て調整後初の高電圧発生試験を行い、ISISセカンドハーモニック空洞に要求される電圧仕様を満足することが確認された。しかし、平成18年、RALではニュートリノファクトリに関する実験計画(Muon Ionization Cooling Experlment、ミュオンイオン化冷却実験、MICEプロジェクト)が緊急に具体化し、その実験場所として本装置が設置されている実験室が当てられることになった。この為、本装置は移設を余儀なくされ、平成18年度中にこの移設作業を完了した。その結果、本補助金申請時に計画されたISISシンクロトロンを用いたビーム平坦化実験は実行が不可能となり、平成19年度以降に持ち越された。
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Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 565
ページ: 358-369
Proc. of European Particle Accelerator Conference 2006
ページ: 321-323