研究分担者 |
池添 博 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究主幹 (90355058)
西尾 勝久 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究副主幹 (70343928)
JEONG Sun-Chan 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (00262105)
渡辺 裕 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (50353363)
萩野 浩一 東北大学, 大学院・理学研究科物理学専攻, 助教授 (20335293)
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研究概要 |
ウラン等より重い元素は自然界には存在せず、これまで加速器などを使って人工的に合成されてきた。その中でも最も重い元素である超重元素の合成には重イオン融合反応が用いられるが、重い元素になるにつれて融合する確率が急激に減少することが大きな問題となっていた。特に、クーロン障壁近傍では反応確率が急激に変化し、厳密な入射エネルギーの選択が鍵となる。そこで我々は、後方散乱された準弾性散乱断面積とラザフォード散乱断面積との比を1階微分することにより、融合障壁分布を実験的に導出する新しい手法を実現した。 実験では、日本原子力研究開発機構タンデムブースター加速器からの重イオンビーム^<48>Ti(チタン),^<54>Cr(クロム),^<56>Fe(鉄),^<64>Ni(ニッケル),および^<70>Zn(亜鉛)を、^<208>Pb(鉛)標的に照射し、162°,168°および172°に後方散乱された準弾性散乱断面積を精度よく測定した。その励起関数を1階微分することにより得られた融合障壁分布は、104番,106番,108番,110番,および112番元素を合成する冷たい融合による超重元素合成反応と比較検討できる初めてのデータである。 これらの研究成果は、原子核構造に関する国際会議(NSO7)、クーロン障壁における核反応機構と原子核構造に関する国際会議(FusionO6)、および日米物理学会合同核物理分科会(HAWO5)において口頭発表し、「Barrier Distributions Derived from Quasielastic Bcakscattering of ^<48>Ti,^<54>Cr,^<56>Fe,^<64>Ni,and ^<70>Zn prqiectiles on a ^<208>Pb Target」いう題目でPhysical Review Letter誌に掲載された。
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