申請者が提案した「共鳴増幅法」をより系統的に研究し、B+→φφK+の他に有用なモードがないかどうかチェックした。特に、B0→φφKsという崩壊において、時間に依存するCPの破れと共鳴増幅の両方が存在する場合の現象は未開拓の分野なので、重点的に研究した。当該研究のこの部分は、理論物理学者との活発な研究打ち合わせが研究発展の生死を握るため、国内外への旅費が重要となった。また、新しい測定法を議論する研究会を主催し、国内外の研究者とアイディアを戦わせ、より強力な方法の開発を目指した。その結果、B0→φφKsに関しては、従来よりハドロン不定性の小さい新しい測定方法を見つけ出した。これについて、現在、昨年度購入した専用のワークステーションを用い、鋭意シミュレーションを行っている。また、この新しいアイディアに基づいて、インドのR.Sinha、N.Sinha両博士との共同研究を開始した。結果は平成19年度中に論文としてまとめる予定である。また、本年度は、上記のハドロニック崩壊に加え、ラディエーティブなb→s三体崩壊についても検討を行った。その結果、やはり従来知られている方法よりハドロン不定性の小さい新しい測定方法を見つけ出した。この方法に関しては、D.Atwood、T.Gershon、A.Soniと共著でプレプリントを投稿した(hep-ph/0701021)。
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