B中間子の3体崩壊を用いたCP非保存の新しい測定法の発展をめざし、新しいアイディアを出すことを試みた。申請者が以前に提案した「共鳴増幅法」をより系統的に研究し、すでに論文発表しているB+→φφK+を使った方法の他に有用なモードがないかどうかを調べた。特に、B0→φφKsとB+→φφK+の両方を組み合わせ、更にSU(2)などのフレーバー対称性を用いることにより、標準模型の不定性の少ない探索が出来る可能性を追求した。また、上記のハドロニック崩壊に加え、ラディエーティブなb→s三体崩壊についても検討を行った。その結果、B中間子が擬スカラー粒子、ベクトル粒子と光子に三体崩壊する場合について、従来知られている方法よりハドロン不定性の小さい新しい測定方法を見つけ出しプレプリントを投稿した(hep-ph/0701021)。更に、現存するBファクトリーのデータを用いて、上記の崩壊についての研究をおこなった。更に、これらの測定のための新しい崩壊点検出器の試作機について、ビームテストをおこない、性能を評価した。その結果、APV25という新しいパイプラインチップを用いた読み出し方式が、高い輝度の電子・陽電子衝突型加速器における実験において有用であることを確かめることができた。特に、3つ以上のタイムスライスを続けて読み出して波形情報を得ることを試み、高い時間分解能を得ることが可能であることを確かめた。
|