研究課題
基盤研究(C)
現在、計画・建設・ビーム稼動中の高エネルギー粒子加速器においては、ビーム性能に対する高い要求を実現するために加速器計算コードが果すべき役割は極めて大きい。本研究では、ビーム物理学に立脚し、多様な粒子加速器のビーム現象を統一的に取り扱えるような汎用性を備えることを目指して、加速器設計からビーム運転に至る加速器研究の全過程において有用な、総合計算コードSAD(Strategic Accelerator Design)の開発を進めている。KEKBBファクトリーを始め、国際リニア・コライダー(ILC)、LHC、J-PARC、BEPCII、スーパーB-ファクトリーなど、様々な加速器の設計・シミュレーション・運転にSADは広く活用されており、ビーム運転の現場から発生するコード利用者の要求を満たすため、常に改良が続けられている。世界最高ルミノシティで稼動中のKEKBにおいて、SADは既に不可欠の存在であり、SADに基づいたビーム光学系のオンライン・モデルとビーム制御の統合環境によって初めて、高ルミノシティを実現する精密なビーム調整が可能になっている。2007年に開始されたクラブ交差方式においては、シミュレーションで予想されるビームビーム・パラメタの飛躍的な向上を目指すにあたって、より精密なビーム制御が要求されており、SADの重要性が増々高まっている。また、ILCダンピング・リングの空間電荷効果の評価・力学口径評価、ナノビーム型スーパーBファクトリーの力学口径評価、などにより、これらの加速器の設計研究にSADは貢献し、エネルギー・フロンティアで稼動間近のLHCへの応用(例えば光学系の誤差解析・補正)も検討が進んでいる。2006年にKEKで開催されたワークショップSAD2006において、様々な加速器におけるSADの有用性が報告されているが、さらに将来の加速器における広範かつ高度なビーム要求を満たすため、加速器国際会議や短バンチ・ビーム、LHC増強計画などのワークショップに参加して積極的な議論・情報収集を行っている。
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すべて 雑誌論文 (28件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)
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